C-HRオーナーとオーナー予備軍へ贈るコラム-BEYONDエンジニアのC-HRへの超偏愛

2017.11.30

C-HRコンセプト編 デザインだけじゃない!その走りのコンセプトは「我が意の走り」

次世代世界戦略クロスオーバーSUVとして、2016年12月14日に発売されたC-HRは、以前からクロスオーバーSUVを示唆していたコンセプトカー「C-HR Concept」がその原点であり、市販バージョンに込められた思いが詰め込まれたモデルでした。

2014年のパリ・サロンに登場した「トヨタ C-HR コンセプト」は2015年のフランクフルト国際モーターショー、そして東京モーターショーに出展されたました。

それは、コンセプトカーによくある、トヨタが目指す今後のデザインスタディであり、そのデザイン要素を一台のクルマにまとめたコンセプトカーでしかないと誰もが思ったでしょう。こんな奇抜なデザインのままでは市販車、特にトヨタのような大メーカーが必要とする量販を前提とした車種ではありえないと。

事実、シエンタやプリウスなど、その後に登場するトヨタ車は、「C-HR コンセプト」に似ていないとしても、奇抜とも受け取られるデザインで攻め続けました。

そして、C-HRの市販モデルは、コンセプトカーの3ドアから5ドアになるなどの変更があるものの、「C-HR コンセプト」に非常に近い姿で市販モデルを誕生させたのです。誰もが驚いたスタイリングをまとったC-HRの開発コンセプトは、いったいどんなものなのだったのでしょうか。


【目次】

目次1 C-HRの開発コンセプトは、distinctive(=個性的であること)
目次2 デザインコンセプトは「センシュアル スピード-クロス」
目次3 デザインだけがコンセプトではない その走りのコンセプトは「我が意の走り」


C-HRの開発コンセプトは、distinctive(=個性的であること)

トヨタとして新しい所に入っていく使命を持っていたC-HR。一貫して、そのオリジナリティを大切にしてきたという。そのぶれない思いがあったことと、「格好良い」という共通認識を開発チーム全員で持つことができたからこそ、今のC-HRが出来たのだといいます。

とはいえ、まったく新しいことを始めるには上層部を説得しなければならないという、大メーカーならではのハードルがあります。そこでデザインチームは、「格好良く」なることの最大の障壁だった長いオーバーハングを含め、現状のパッケージのモデルを作って、上層部の承認の場で見せたのです。当然、このままではだめだという認識を持ってもらい、パッケージ全体を見直し、新しく作り直すことが出来たといいます。つまり、わざとカッコ悪いモデルを作って見せたのです。

そして、オーバーハングを切り詰めて、バックウィンドウも倒したシルエットのパッケージモデルを作り、誰もが『格好良い』と納得することが出来たのです。

シンプルで大きな造形テーマ、そして入念な造り込みC-HRのシャープなキャラクターラインと、深絞りされた面との対比を実現するためには、プレス工程では深絞りと共に、幅広く豊かな造形を実現することが必要となります。

では「BEYOND URBAN」を前、横、後ろから検証してみましょう。

デザインコンセプトは「センシュアル スピード-クロス」

そのC-HRは、コンセプトカーよりもむしろ、「市販モデルのほうがバランスが良くてカッコイイ!!」という声が聞かれたほどでした。このダイナミックなデザインは世界でも高く評価され、「ワールドカーデザインオブザイヤー2017」の最終選考3台のうちの1台に選ばれたほどです。

セリカのようなスペシャリティカー的SUVを目指したともいわれるそのデザインコンセプトは、「センシュアル スピード-クロス」。ダイヤモンドをモチーフにしたというそのスタイリングは、軽快さと力強さが大胆に融合したスタイリングキャビンとドアサイドを一体化させ、ボディ下部を強く削ぎ落とすことで明快に際立たせた彫刻的なダイヤモンド形状と、豊かに張り出した前後ホイールフレアにより、大胆でセクシーなサイドビューを表現させまています。

そしてリアのドアハンドルは、ボディに一体化したヒドゥンタイプとすることで、あたかも2ドアクーペのような印象をもたらしていることで、コンセプトカーのように2ドアでなくて、クーペデザインを保ったまま、実用的な4ドアにすることが出来たのです。左後方視界や後部座席の快適性が犠牲となっても、デザインを優先させた結果、クロスオーバーSUV型2+2シータークーペとも呼べるような新しい造形が出来上がっています。

デザインだけがコンセプトではない その走りのコンセプトは「我が意の走り」

そのコンセプトは、その奇抜なスタイリングだけだと思われがちですが、走りにもこだわることがC-HRのコンセプトでした。

その核となるプラットフォーム「TNGA」は現在のトヨタ社長である豊田章男氏による「もっといいクルマを作ろうよ」というメッセージのもと、新型プリウスからスタートしたトヨタ最新のプラットフォームをC-HR にも採用、パワートレインは1.2L直噴ターボと1.8Lのハイブリッドをラインナップしました。

「TNGA」の低重心パッケージや高いボディ剛性を、さらに走りに重点を置き進化させ、優れた操縦安定性と快適な乗り心地を達成。さらに、ヨーロッパをはじめとする世界の様々な道や国内外のサーキットで走行テストを重ね、走りを徹底的に鍛え上げ、国内デビュー前にニュルブルクリンク24時間耐久レースにも挑戦しています。

C-HRはクロスオーバーSUVなので、プリウスなどと比べ、車高を40mmほど上げようということになっていましたが、視界が開ける分、重心は上がり、ロールが増えます。車高が上がった状態で、いかに乗り心地やハンドリングを「我が意の走り」に近づけるかがサスペンションの課題となりました。

そのために足回りのチューニングの要となったのは、「アクティブな安心感」でした。通常であれば不安になる状況でも、思い通りにハンドリングでき、安心感がありながらも運転が楽しい、意のままにクルマが動く感覚を追求したのです。

それじゃ、欧州車に負けない運転感覚を作りたかったからにほかなりません。C-HRは日本国内だけではなく、グローバルに販売する車種であり、本場欧州のライバル達と対等に勝負する必要があったからです。事実、発売は日本に先駆け欧州市場でのことでした。

先駆者に対してC-HR とは

C-HRはモノコックボディの乗用車をベースにしたクロスオーバーSUVなのですが、実はその先駆者は「トヨタ」だったのをご存じでしょうか。乗用車と同じシャーシーを用いたクロスオーバーSUVとして先駆者となったのはトヨタのRAV4でした。そして高級クロスオーバーSUVというジャンルを切り開いたのもトヨタのハリアー。この歴史的なモデルとなった2台に対して、C-HR はどの様な役割を持つのでしょうか。

それはクロスオーバーSUVに分類されながらも、それまでのクロスオーバーSUVよりもさらに都会派なイメージを追求、地上高が若干高い以外は、全高も低くクーペスタイルを取り入れるなど、もはやSUVにも縛られないC-HR は、自ら「クロスオーバー」と名乗ることになったのです。

開発当初のコンセプトを最後までブレずに貫き通したからこそ、世界をあっといわせるクルマ「C-RX」が実現できたと言えるでしょう。