C-HRオーナーとオーナー予備軍へ贈るコラム-BEYONDエンジニアのC-HRへの超偏愛

2017.11.30

C-HRドライビング編 走りを目指したC-HRであってもやはりハイブリッド

軽量・高剛性な新プラットフォームで、走りのレベルアップに貢献したほか、環境車のハイブリッドでありながら乗り手の感性に響く「走りの質感」まで高めたというC-HRですが、本当の走りの実力はどうなのでしょうか。ディーラーでの試乗のチャンスが得られない方や、短時間の試乗では本来の実力がわからない方も多いと思います。しかし、デビューからそろそろ一年が経過しようとしている現在、その注目度から、多くの試乗レポートが報告されています。

C-HRの本当の実力はどうなのか?直噴ターボは?その中から、C-HRの魅力を集めて分析・解説してみました。

トヨタが2016年12月に投入したクロスオーバーSUV「C-HR」は、「プリウス」と基本コンポーネントの多くを共有する車台に、1.8L直4ハイブリッドシステムの2WD(FF車)と、1.2L直噴ガソリンターボの4WD車の2種類を設定します。

C-HR は、現行プリウスと同じTNGAプラットフォームを採用してはいますが、車高をプリウスに対し、+80mmの1550mm(ターボ車は1565mm)とし、最低地上高もプリウスの130mmに対してハイブリッドが140mm(ターボは155mm)。さらに、プリウスより55mm高い着座位置と大径タイヤを装着したクロスオーバーSUVのスタイル。しかし、開発では既存のクロスオーバーSUVとは異なる個性的なデザインと本場ヨーロッパでも通用する走行性能を実現するという両面に取り組んでいることが、このクルマの性格を決定付けています。

今回取り上げる走りという点において、C-HRはプリウスよりもスポーツドライビングが明確にイメージされていますが、いたずらにクイックなスポーツカー的なものではなく、ヨーロッパの地方道で通用するような、滑らかでリニアなハンドリングを目指したとされています。

そのために、発売前には世界一厳しいコースといわれるニュルブルクリンク24時間レースにC-HRのレース仕様を出場させ、ここで得た経験を市販モデルにもフィードバックしているほど。それだけに、スポーティすぎるな味付けではなく、奥行きの深い走りを実現できたと言えます。


【目次】

目次1 TNGAシャシーの実力
目次2 ハイブリッド車 走りを目指したC-HRであってもやはりハイブリッド
目次3 1.2L直噴ターボ車 誰もが感じる、よりC-HRらしいパワーユニット
目次4 まとめ


TNGAシャシーの実力

C-HRが採用するTNGAシャシーは、SUVタイプのボディながらも、低重心設計となっていることもあり、高速道路や普通路では何の不都合もなく、スポーツモデルのような刺激は薄いものの安定性は高かく、突き上げ、振動ともよく吸収しする乗り心地。ステアリングの切り始めは軽く、高速の直進性が安定している。そしてコーナリングでは、舵角に応じてボディが素直に反応するという印象にになります。その際に、ボディは路面をしっかりと受け止め、ロールも穏やかに移行します。

これらのために、足回りにはこれまでになくコストがかけられ、ダンパーは4輪ともリバウンド・スプリング内蔵式のザックス製であることが大きな役割をになっています。つまりC-HR の走りは、高いボディ剛性を持ったTNGAとザックス社製ダンパーが支えているからこそ、ハイブリッドでも1.2L直噴ターボでも、その動力性能が生かされているのです。


出典:トヨタ C-HR

ハイブリッド車 走りを目指したC-HRであってもやはりハイブリッド

98psの1.8Lエンジンと、72psのモーターの組み合わせに、ニッケル水素バッテリーが使われているハイブリッド車は、加速フィーリングも同じパワーユニットを搭載するプリウスと同等で、必要な速度に達してアクセルを緩める巡行速度域なら、時々エンジンを停止しながらそのまま走り、減速エネルギーはバッテリーに回収して再利用する仕組みとなるおなじみのシステム。

車重はプリウスより約70kg重いのですが、ローギア化されているために、高速道路の合流など、加速力が必要な場面では押し出すようなトルク感は、1.2L直噴ターボ車以上に感じられます。そして、ハイブリッド特有の静かで、不快な揺れを感じさせない走行フィーリングは、ドライバーだけではなく同乗者にも優しく、長距離ドライブでのストレスが少なく、ドライバーもリラックスしてクルマを走らせることで安全運転にもつながるはずです。

しかし、エンジンの伸びを期待するような走りは、やはり直噴ターボエンジンの方がリアルに感じられ、ハイブリッドでは物足りないと思われるかもしれません。

しかし、80%がハイブリッド車という受注状況(初期受注)であることを見ると、クロスオーバーSUVといえどもユーザーのハイブリッド指向は根強く、特にトヨタ車ユーザーのそれはもはや信仰に近く、あえて直噴ターボ車の動力性能は控えめにしたハイブリッド押しの戦略は、トヨタのしたたかさなのかもしれません。

1.2L直噴ターボ車 誰もが感じる、よりC-HRらしいパワーユニット

1.2L直噴ターボ車のスペックは、85kw(116ps)/5600rpm、185Nm(18.9kgm)/4000rpmと、イメージよりも強力というわけではないが、実際にはパワーに余裕のある走りを見せます。終始1200~1300rpmくらいを保つように設定されたCVTにより、アクセルを多く踏み込むことで、回転を上げることなくスムーズに加速させることができます。

このCVTは、セレクターでマニュアルモードを選ぶと7段ステップ変速となりますが、パドルシフトは装備されずセレクターだけでの変速となります。そして、ノーマルモードで強めの加速をすると、通常の変速機のように変速するようになっており、ドライバーに気持ちの良い加速感を与えてくれる。

1.2L直噴ターボ車は4WDであるが、特にそれを感じることなく、ハンドリングにもクセはないが、と販路の長く続く峠道のような状況においては、後輪に押し出すようなトルクが加わり、FFのハイブリッド車とは明らかに異なるハンドリングを感じるが、緩やかな路面ではまず4WDであることを意識させません。

直噴ターボであっても燃料がレギュラーというのも、C-HRの有難い点です。同じエンジンンの「オーリス1.2T」.が同スペックでありながらハイオク仕様であることを考えるとこの差は大きい。ただし、実際にどちらがパワフルかというと、もともとがハイオク前提のパワーユニットだってだけに判断は難しいものがあります。

また、1.2L直噴ターボとハイブリッドの違いが大きいのはブレーキのフィーリングで、これはより剛性感のある1.2L直噴ターボの方が好ましいと思われるはずです。


出典:トヨタ C-HR

まとめ

C-HRのハイブリッドも直噴ターボも決して驚くような速さはないものの、十分な動力性能を備えており、すべてのシチュエーションで活発な走りを見せてくれます。ハイブリッドはスムースであり、1.2L直噴ターボはエンジンの存在感がより強く、乗り手にリアルな手応えを感じさせてくれます。

一言で言えば、ゆったりと走らせたいならハイブリッド、元気に走らせたいならターボというのが一般的な見解ですが、ハイブリッドであっても元気に走れますし、ターボであってもゆったりと走るのに何の問題もありません。これは良いことに思えますが、両車の差別化が明確ではないという事にもなります。

また、欲を言えば、せっかくの直噴ターボエンジンなのですから、もう少しパワーが欲しかった。クラウンの2.0L直噴エンジンは無理でも、北米仕様のNA2.0Lならどうだったろうか?くしくも、同クラスのライバル、マツダの「CX-3」はFFながらもNA2.0Lエンジン車を追加設定し、その走行性能に高評価を得ているのですから。